看護師になりたい理由は、とくにないんだけど

高校生が何となく看護学校に進学することは悪くありません。むしろ素晴らしい機会です

たとえば高校生3年生なら、まだ18歳です。この時期に一生の仕事を決められる人なんて、ほとんどいないでしょう。みんながいくから大学に入る、特にこれといった理由はないけど専門学校に入る、というのが普通です。看護師になる理由はないけど、なんとなく看護学校にしようかなというのも、けっして珍しいケースじゃないんですよ。

看護学生の動機

看護学校に入ったあと同級生に聞いてみたら、けっこう「なんとなく入っちゃった」という人も多いんです。学生の志望動機なんて、そんなもの。知り合いに看護師がいたから、とか、資格が取れる学校がいいと思ったから、という程度のことで進路を決めています。それでいいんです。大事なのは、多少でも看護師になりたいという気持ちがあることと、実際に入学が許可されることです。

学生のみなさんは見落としがちですが、看護学校の試験に合格する=看護師としての最初の適性が認められたということです。なぜなら、看護学校入学試験には学力テスト以外に、必ず面接と適性試験がありますね。面接や適性テストでは「看護師にどうやっても向いていない」学生がいたら、不合格にしています。つまり入学が許可された時点で護師として最低限の適性はあると判断されたのです。

勉強しているうちに気持ちが決まります

それほど強い志望動機がなくても、いったん入学すればあとは同じです。看護学校のカリキュラムはきびしい。他の学科と違って、復習と実習が大変です。実習に入るなら事前の予習は必ずいりますし、あとの復習をきちんとしないと、次におなじような実習があった場合まごまごして、先生に叱られます。

こういったハードなカリキュラムをこなしているうちに、なかには「私、どうしても看護師はムリ」と感じる人も出てきます。これはこれで、仕方がないことです。看護師の仕事は患者さんの生命に直結しています。自分で無理だと思うことを、他の人の体にするのは危険です。こうなったらちょっと頭を冷やして、自分は本当に看護学校を続けたいのかを確認するといいでしょう。

志望動機と看護師の適性は関係がない

看護学校の学生には、こういった「進路に自信が持てなくて休学する」ひとは少なくありません。60人で入った学年が、60人そろって卒業できる年はないでしょう。途中から休んで1年遅れで復帰する学生もいますし、進路変更をする学生もいます。こういったことも、いったんは看護学校に入ってみないとわからないことなのです。

では、休学や進路変更をするのは、志望動機が固まっていないのに入学した学生ばかりでしょうか。そうでもないんです。強い意志のもとで入学しても、現実とのギャップに悩んでやめていく学生もいます。入学当初はそれほど乗り気でなかった学生でも、勉強しているうちに楽しくなることだってあります。だから、最初に強い志望動機がなくてなんとなく看護学校を選んじゃった、という場合でも、なんの問題もありません。大事なのは卒業して、国試に合格することです。

まとめ 一生の仕事としての看護師

こんなふうに言うと「一生の仕事を決めるのに、なんとなく、なんて理由にならない」と怒る人もいるかもしれません。ですがまだ何の社会経験もない高校生で、将来の職業に確固たる信念があるほうが、めずらしいのです。看護師になるという明確な目標を持つということは、それだけですごいことです。大声で言えるような志望動機がなくたって、看護師というビジョンははっきりしているのですから、他の生徒より一歩も二歩も進んでいることになります。

なんとなく選んだ看護師の道でも、職場で先輩や上司に揉まれ、患者さんに育ててもらえば、一人前の看護師になれます。多少の回り道があっても、細く長く働いてほしいものです。

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