
高校の2年生になって「やっぱり看護師になりたいな」と思う人もいるでしょう。
進路について真剣に考えるうちに、「看護師」という職業がクローズアップされてきたら、ぜひとも具体的に検討してください。
なかには「私は文系クラスなので看護師は無理だと思います」という学生さんもいるようですが、看護学校や大学の看護科を受験する場合、必ずしも文系クラスの学生が不利とはいえません。
文系からでも、毎年たくさんの学生が看護師を目指して、看護専門学校や看護系大学に合格しています。
文系高校→看護系大学の合格の秘訣は文系の選択科目
文系学生が看護学校や大学の看護科に合格するためには、なるべく文系中心の科目で受験ができる学校を探しましょう。
たとえば大学によっては、センター試験の英語、国語(現代文)、日本史、生物で受験できるところがあります。
文系学生でも生物の授業はとっているはずですから、特に問題はないでしょう。
一例をあげると、日本赤十字看護大学の一般入学者選抜試験(センター試験を利用しない受験者)の受験科目は、必須が外国語(英語)と国語です。
選択科目は、数学(数学I・数学A)、理科(化学基礎)、理科(生物基礎)の3科目から1科目を選びます。
おなじ日本赤十字看護大学のセンター試験利用型Ⅱの場合は、必須科目が外国語(英語)で、選択科目は国語、数学(数学I・数学A)、理科(化学)、理科(生物)、理科(化学基礎と生物基礎)の5科目から2科目を選びます。
どちらの試験でも必須+選択で3科目を選ぶことになりますが、文系学生なら英語、国語、生物を選べばいいでしょう。
どの科目の出題範囲も文系のついていけないレベルではありませんし、二次試験は面接ですから、理系も文系も関係ありません。
看護専門学校も、文系科目で受験OK
看護専門学校の受験でも、文系が不利にならないのは同じです。
たいていの看護専門学校では、英語と国語が必須で、生物か数学を選択科目にしています。
こうやって並べてみると、文系クラスの高校生に対して、看護専門学校が広く門戸を開けているのがわかります。
みなさんがイメージするほど、入学時の理数系学力ばかりが高く評価されることはないんです。
なかには、茅ヶ崎看護専門学校(神奈川県)のように、一般入試の受験科目が文系だけという学校もあります。
この学校の試験科目は、国語、英語、小論文、面接です。
これまで理系をまったく勉強してこなかった学生や、数学が苦手で看護師をあきらめようと考えていた人にとっては、合格の可能性がグッと上がりますよね。
こちらの学校では、特に文系の入学希望者に配慮をして、理系中心の受験科目にしていないそうです。
ただし文系科目だけで受験ができる看護専門学校には、文系の希望者が殺到します。
単純に文系学生だから有利ということはなく、勝ち抜いていく学力が必要なことは確かです。
ただし、入学後は理数系の科目が増えます
看護系大学でも看護専門学校でも、受験に際して文系学生だからといって不利になることはありません。
しかし、試験に合格し入学した後の授業では、理数系科目が圧倒的に多くなります。
そういった意味で、看護師を目指す学生はできれば高校2年のころから意識的に理数系科目を多く選択して、勉強するといいでしょう。
特に生物と化学はどちらもとても重要です。
数学も平均点以上がとれるといいですね。
数学なんて看護師にはいらないと思うかもしれませんが、看護師になってから意外と大事なのが計算の能力です。
看護師の具体的な仕事の中には、処置に関する数値を自分で計算して出すことがたくさんあります。
たとえば点滴。
あれは液が上から落ちるスピードが大事ですが、点滴の滴下スピードは看護師がそれぞれ計算して出します。
患者さんに渡す薬の量をすばやく計算することもあります。
日々の仕事が数字と直結しているのが看護師なので、数字に対して苦手意識がある学生は、早めに解消しておくといいでしょう。
看護師も、文章力はあった方がいいんです
同時に、看護師になってからも文系の能力は必要です。
看護師の仕事はたくさんの記録を書き、他人に対して正確に物事を伝える能力が求められるからです。
カルテだけでなく、シフト勤務を引き継ぐ看護師に対して誤りがないように、ドクターからの指示を伝えることも大事ですし、患者さんが転院(他の病院へうつること)する場合は、他の病院の看護師に対して、現在の病状や薬の記録、毎日やっている処置を文書で送ります。
正確に無駄なく、必要な情報をいれて他人に伝える。
これは数字だけでは出来ないことです。こういう時こそ文系学生の能力が発揮されます。
ちなみに、大きな病院に就職すると最初の1年間は山ほどのレポートを書かなくてはいけません。
レポートは、課題(テーマ)にたいして自分なりの考えを書いて検証し、結論を出す必要がありますから、かなりの文章力がいります。
与えられたテーマの目的を把握し、どういったアプローチ法を求められているのか、それに対して自分は何を言いたいのかをきちんと決めてから、レポートを書かなくてはいけません。
それも大量に、です。
文系的な能力も理数系能力も、両方が求められるのが看護師だと思ってくださいね。
入学後から必死に勉強すれば間に合います
こんな風に言うと、ますます看護師になるのが大変と思うかもしれませんが、実際はどれもこれも仕事の中で覚えていきます。
学生時代に習ったことに加えて、病院でのさまざまな経験を積んで、看護師は1人前になっていきます。
いま看護師になろうと思っていることが大事なのであって、勉強は、やれば出来ることばかりです。
文系しか勉強してこなかった学生も、看護師という進路をつねに視界に入れておくと世界がひろがるでしょう。
参考サイト:茅ヶ崎看護専門学校 http://www.chigakan.ac.jp/test.html
日本赤十字看護大学 https://www.redcross.ac.jp/examination/faculty/general
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